「それじゃぁ………これ、持ってみて」

 

 そう言って差し出されたのは―――――――ガラスのコップ。







 目の前に差し出されたそれを見つめた後、怪訝な視線をやればその意味を承知した様子でそれでも尚黒蘭は、

 

「いいから」

 

 もう何でも良くなって蒼助は結果は見越してはいたものの、言われたとおりにした。




 手がコップの表面を包み込むような形で、それを持とうとした―――――――時。








 ―――――――パキ……ッ。










 触れる、という寸前でコップに異常が起きた。




 そして―――――――それを前兆として区切り、後は一瞬で【砕け散った】。



 まるで外部から圧し潰されるかのように。






 キラキラと破片が床に散らばるのを見届けて、蒼助は黒蘭を伺うように見た。

 

「………と、いった感じなんだけど」

「うむ、なるほど。ありがとうね」

 

 少し前の出来事を【再現】しただけで、何かを理解した様子で黒蘭は頷いてみせる。

 

「これと同じことが、寝室の方で起こったのよね?」

 

 その問いを向けられた蒼助の隣に座っていた千夜は、頷くという動作でそれを肯定した。

 

「………そう」

「おい、納得してねぇで説明しろよ」

「多分人体には影響が出るほどじゃないだろうけど、霊力がね…………【暴走】してるのよ。霊質粒子の流れ通る道が出来ている自然から生じた物質や

存在なら、それを受け止めることが出来るから問題ないけど………こういった人工的に生み出された化学物質には、それが通る流脈が存在しない。

当然、霊質粒子は宿らず付着するだけに留まる。そこに、坊やの制御も手加減も何も出来ていない霊力が負荷となってかかるから、脆弱な物質そのものが

耐え切れず崩壊した―――――――と。……わかった? ……目が点になってるけど」

「お、おう」





 嘘だ。





 その場にいた誰もが見抜いたが、あえてスルーした。

 それよりも優先して気にすべきことが他にあったからだ。

 

「黒蘭、そういうことを聞いているんじゃない」

「あ、そうだって。俺が聞きてぇのはそーゆーことじゃなくてだな……俺の身体は一体……」

「だから言ってるじゃない。霊力の制御がなってないから、軽く暴走してるのよ」

「……制御ぉ? 暴走って………オイオイ、俺にそれほどのもんになるほどの霊力なんぞ……自慢じゃないが持ち合わせちゃいねぇって」

 

 本当に自慢にならないが、生まれてこのかた霊力の制御などしたことがない。

 そもそも制御する必要もなく、微弱すぎて何の役に立たない代物だ。



 それが暴走しているという。

 しかも、先程のような現象を起こしている原因だと。

 

 そんな馬鹿な、と笑う蒼助に黒蘭は肩を竦め、

 

「仕方ないわねぇ……」

 

 やれやれという仕草を見せてからその後一秒にも満たさない間に―――――――行動に出た。





「っな―――――――!」

「っ!?」





 徐にコーヒーカップに挿していた小振りのスプーンを掴んだかと、黒蘭はそのまま蒼助の喉元向けて突き出したのだ。

 それは周りの者はおろか、一番近くにいた千夜と矛先の当人である蒼助ですら対処する隙も無い疾さで行われた一手だった。





 為す術もなくスプーンは蒼助の喉仏に突き刺さった―――――――ように見えた。

 

 

「………こくっ、……っ?」

 

 非難をあげかけた千夜は、問題の部分を見てその手前で止めた。

 喉に深く入り込んでいるように見えたスプーンの先端。



 それを注意深く見てみれば、

 

「……あ?」

 

 刺された当人である蒼助も、自身に起こったことに違和感を察した。






 痛みがないこと。

 違和感の正体であった。






 不意に下げた視線が、床下で反射する小さな物質の欠片を捉える。

 欠片は歪んだ金属のようだった。

 まさか、と思った途端、喉元から凶器(スプーン)が退いた。

 

「ほら、ね?」

 

 掲げるように見せられたそれに蒼助と千夜、そして周囲の者は目を見張った。





 スプーンの先端は大きくかけており、既にその機能を失った形をしていた。





「貴方の体とその表面上をのたうち回っている力がこの化学物質であるこれを拒絶して、こうなったのよ。……………さぁ、これで実証になったかしら」

 

 勿体無い事しちゃったけど、と呟きながら、黒蘭は変わり果てた器具を元の場所に戻した。

 

「………一体、何で……何で」

 

 呆然とする蒼助は自身の手の平を見つめた。

 そこには、以前と変わらない己の手があった。



 何も、変わっていないはずの手が。

 

「んー、ごたごた説明を並べるよりも………まずは、こう言ってあげた方がいいかしら」

 

 

 そう一人で決めるなり、黒蘭は己よりも遥か高い位置にある蒼助の顔を見つめながら、その手の上で己のそれを重ねた。








「おめでとう、坊や」








 突然の祝辞。

 蒼助はどう反応すればいいかわからず、ただ聞き入れた。

 

「………は?」

「壁、越えたみたいよ? 貴方の前に立ち塞がっていた、【こちら側】と【あちら側】を隔てる境界線を」

 

 相も変わらず微笑を湛えながら、黒蘭は、

 

 

 






「"澱"へようこそ……もとい、"人外"昇格おめでとう」






 

 

 

 衝撃的発言をにべもなく言い切った。









 ◆◆◆◆◆◆









「黒蘭っ!? 何を言って………」

「嘘だと思うのなら直に触れてみなさいな。三途、貴女が一番わかるだろうから」

 

 驚愕の反応を見せた中で、指名を受けた三途は疑心の心境のまま、

 

「………すみません、少しこちらへ。動けないので」

「あ、ああ、いいっすよ」

 

 ソファに腰掛けたままの三途の元に二、三歩近づく。

 

「少し、前へ屈んでください」

 

 言われた要求に従うと、胸に三途の手が置かれる。

 ただそれだけの状態がしばし続いた。

 

 何がわかるのだろうか、と疑問の答えになるであろう反応目を閉じている三途に期待して待っていると、





「これはっ……」





 三途は目を開き、驚愕に瞼を震わせた。

 そこに追い打ちをかけるように、

 

「彼が肉体の主導権を握れば、体の変化も元に戻ると思ったんでしょうけど………その読みはハズレね」

「…………………あのー」

 

 流れるシリアスな空気に耐え切れず、蒼助は思わず手をあげた。

 

「話が弾んでいるようで悪いんだけどよ。………勝手に納得してないで、俺にもわかるように説明してくれね?」

 

 さっきから、どうも一人話題に置いていかれている気がして仕方ない。

 問題の渦中にいるにも関わらず、話に全く入れないのだ。

 

 不貞腐れたような蒼助を顧みた黒蘭は、会話対象を三途から移し、

 

「あら、ごめんなさい。………まぁ、手っ取り早く簡潔にいい表すと―――――――貴方もう人間じゃありません」

「ホントにあっさりだなオイっ!」

 

 とりあえず、ツッコミを入れる余裕は蒼助の中に残されていた。

 

「わかっていると思うけど………自分の中にあの"異物"が残っていることには、気付いてるんでしょう?」

 

 千夜と三途が目を見開くのが目に入ったが、あえて無視して蒼助は頷いた。

 

「その状態であるのは、言わずともその異物のせいであるけれど…………逆に、貴方が退魔師としてオチこぼれになった原因も然りなのよ」

「………あ?」

 

 思わず気の抜けた声が喉を突いて出た。

 突然、自分のコンプレックスを指摘された怒りよりも、何の脈絡があってそこへ跳んだのかという疑問と驚きの方が大きかった。

 しかも、相変わらず話が見えない。

 

「まぁ、そこらの云々はひとまず置いておくとして。それより………貴方、【混血種】ってわかるかしら。日本じゃ、半妖って呼び名の方がメジャー

だろうから、そっちの方なら知っているかしら」

 

 出た単語と共に、一瞬蒼助の脳裏を元同僚の残像が駆け抜ける。

 

「………ああ、知ってる。人間とそうじゃないのとの間に生まれるっつー……ヤツだろ」

「そこまでわかってるなら話は早いわ。―――――――ぶっちゃけ、貴方は"ソレ"よ」

「…………オイオイ」

 

 突飛な話加減に更に加速がついてきて、そろそろ付いていけなくなってきた。

 理解しがたさに頭痛すら感じ、それを堪えつつ、

 

「ちょっと待ってくれ……いくら何でもそれは冗談か何かだろ。俺はどっちの親もかなり偏った奇人変人だが………生物分類(カテゴリー)的には人間だぞ」

「そうね………有り得ない事だわ。玖珂家は武道系統。崇める神に信仰で加護を授かるタイプで、間違っても信仰対象と交わるという過ちを犯したことはない真っ当な一族だもの」

「だろ? だったら……」

「でもね。―――――――"特例"だから、有りなのよ」

「………は?」

 

 不意を突かれた表情になる蒼助に、黒蘭は子供に言って聞かせるような優しい声色で、









「昔話をしてあげるわ。むかーしむかーし、の………―――――――"貴方の昔話"を」

 









 ◆◆◆◆◆◆

 

 

 

「あれは……そう、時は戦国時代。織田信長の本能寺の変から数年が過ぎた頃。―――――――その【異例の儀式】は行われたわ」

 

 謡うように黒蘭は語り始めた。

 その声を濁す他音は一切ない。



 誰もが真剣にその語りに聞き入っている態勢でいた。

 語る場として整った舞台で、黒蘭は思うように語り手に扮した。

 

「儀式の当事者は、一柱のカミと一人の青年。彼らは互いに"望み"を抱えその儀式に試みた。そして儀式は、その双方の"望み"を昇華させるべくして

行われたものだった」

 

 聞き入る中、三途は一人思い出していた。

 その内容は、あの青髪の男が自分に零した話と同じである―――――――と。

 

「立会人もなく行われたそれを目撃した者はなく、ただ二つ噂だけが残り………その噂もやがては薄れて消えた」

「…………それで、それと俺に何の関係が」

「二つの噂………一つはその儀式そのもの、もう一つは青年の身元。その人間は―――――――玖珂の一族の出だったそうよ」

 

 黒蘭の言葉に便乗した衝撃が、聞き手達の間に降り立つ。

 

「ちょっと待て………そんな話ウチには」

「なくて当然ね。その男は、家を出たっきりその後の行方を絶っていたらしいから。そんな話伝わるはずもないわね。………確かあの頃流れていた噂で

聞いた………名前の方は忘れちゃったけど、姓は玖珂だっていうのは覚えるわ。武神でも頂点に君臨する【須佐之男】が付いて回る姓だから、なかなか

大きな噂になったもの………忘れるはずない」

 

 衝撃から立ち直りきれない蒼助は、それを唖然としながら耳に入れていた。



 そこに、もう一つの重要な観点に三途が触れる。

 

「………ところで、肝心のその儀式の正体とは―――――――いったい何だったんですか?」

 

 再び、空間に沈黙による静寂が舞い降りる。

 口を開くことを許された唯一人―――――――語り手の役を担う黒蘭は、問いに対する答えを述べる。

 

「魂の融合………いえ、【存在の融合】ね。耳にする噂で明かされていたのは―――――――カミは有限の命を、人間の方は力を求めていたということ。

憶測だけど……当人たちが考えた末に辿り着いた答えとやらが、
どちらでもない存在になるということだったんじゃないか、と……私は考えた」 

「どちらでもない存在…………っ、まさか!」

 

 三途が蒼助を見た。

 

「………え、なんだよ」

「黒蘭……そういうことなんですか?」

 

 自分を向かれた意図を理解できていない蒼助を相手にせず、三途は黒蘭に何か確認する。

 それに返す黒蘭の言葉は多くはなく、簡潔に明確なものだった。

 

「ええ。儀式とやらは成功したみたいね」

「いや、だから……何だってんだよっオイ」

 

 再び話に置いていかれた蒼助は困惑と苛立ちに揺れながら、周りに説明を求め声を荒くした。 

 それに応えたのは双方のどちらでもなく、彼の隣の人物の溜息混じりの声だった。

 

「まだわからないのか………お前のこと言ってんだぞ」

「あん? 俺?」

 

 目を瞬かせる蒼助を顔を見て、更に溜息。

 こうなれば、と気遣いも何も捨てて千夜は直球を投げることにした。

 

 

 

 





「……だから、―――――――お前(・・)()その(・・)儀式(・・)()成功(・・)()証明(・・)()()いう(・・)こと(・・)だ」





 

 

 

 

 

 沈黙。

 固まる蒼助。

 反応を伺う周囲。

 

 そして、

 

 

 

 

 

 

 

「……………………………………マジっすか」

 

 

 

 

 

 

 縋るように最終確認を求める声が、蒼助の口からポロリと落ちた。









 ◆◆◆◆◆◆









 立ち直りは、周囲が思ったよりも早かった。




 立ち直ったというよりも、好奇心の前進力が勝ったというべきだろう、と蒼助は一人自分の精神状態を解して、納得しながら、





「………つまり俺は………なにか、人間じゃなかったっつーこと?」

「貴方の場合、過去形じゃなくて現在進行形よ。人間じゃない」

 

 どっちにしたって状況は変わらねぇだろ、と口の中でぼやき、蒼助は今だ現実味のない己の明らかにされた新事実を噛み締める。

 

「……いやでも俺だっていう証拠がなくね?」

「貴方が玖珂の家に生まれたことこそが、証拠よ。混血はどういう摂理かはしらないけど、必ず血脈を辿って生まれるの。儀式の片割れが玖珂の人間

だったなら俄然通る話よ、これは」

 

 もっとも、と黒蘭は付け加えるように言った。

 

「完全、とはいかなかったようだけど。肉体は上手くいっても、中身の方は水と油だったみたいね」

「あ? どういう意味だよ」

「マヨネーズにならなくてよかったわねってこと。卵があったら、融合しちゃってたのよ? ちょっとびびるか安心するかしてみなさい」

 

 思考してみて、鋭利で冷たいものが背中を刺すような感覚を覚えて蒼助は青ざめた。




 完全に成功していたら―――――――今ここに、玖珂蒼助たる自分の人格は存在していないということになる。

 例えのようない寒気のする話だ。

 

 

「ま、成功していたら今回みたいなことも起きなかったでしょうけど」

「不完全な結果に終わった儀式を、強引に完全なものにしようとしたのが今回の件の真相ということですか……」

「要するに、自分だけ得しようとしたわけかよ………ざけやがってっ」

 

 その儀式の意図とやらも、だんだん読めてきた。

 恐らく、かつての玖珂の男は対等な立場で儀式に応じたつもりだったのだろうが、大間違いだ。

 意識の底に落ちた時に、遭遇したあのカミは明らかに自分の都合のいい方向に事を運ぶ筋を組んでいたのだろう。

 融合後、人格として残るのは自分を濃く残すという形を目論んでいたのだ。

 だから、散々自分を"残り滓"呼ばわりしたのだろう。



 大体、そんな怪しげな受けた玖珂の男もどうかしてる。

 挙句にこうしてその後腐れで、形としては"その後の自分"が被害を被るなど。

 馬鹿馬鹿しいにも程がある。




「………恨むぜ、昔の俺………」




 知りもしないかつての自分に対する恨み言と共にはぁー、と深く溜息を吐き出し、頭を垂らす。

 

「…………ん? つーか、待て………ひょっとすっと」

「あら、何か思い当たることでも?」

「俺が………霊力極貧だったこともコレが関係してんのかなぁっと」

「ああ、それ………大方、予想外の結果の一つだと思うわ。今まで、貴方のコンプレックス以外に異常はなかったんでしょう?」

「ああ」

 

 それだけで充分異常だったと思うが。

 

「乗っ取りが今回が初めて。今は溢れる霊力。……どういう捻りが効いたかは知らないけど、貴方の霊力は今までヤツの抑圧として注がれていた。貴方の霊力貧乏はそのせいって事になるんじゃない?」

「霊力貧乏…………。じゃぁ、この状態は………」

「今まで抑圧に回っていた注がれていた霊力が、行き場をなくしてところ構わず暴れ狂ってるのよ」

「………じゃぁ、これ、俺の?」

 

 俺は出来損ないじゃなかったということなのか。

 そういう意図を汲んだのか、黒蘭は、

 

「一応ね。正確には、アレとの共有物だけど」

 

 気にしていない、それがどうした、と思いつつ、ずっと心の何処かで引っ掻き傷として残っていた引きつった【痕】が、蒼助の中から消えていく。

 だが、安堵と長年の密かな苦悩からの開放感に浸っている場合ではない。

 すぐに我に返った蒼助は、今対峙している【問題】に正面から向き合い、

 

「………結局、このまま放っておくと俺ってどうなっちゃうんだ?」

 

 誰も触れなかった最重要にして核であるその部分が曝け出され、なんともいえない重苦しい空気が生じる。

 その場にいる全員の表情が無になった。



 沈黙の中で、黒蘭は一人口を開いた。

 結論を述べるべく。

 

「………普通の生活が出来ない。それはまだいいけれど、もう一つはもっと大問題」

「…………と、いいますと?」

「再発の恐れが大。これが終わりじゃない。次回もあるわよ」

 

 何が、とは問うまい。

 誰もが聞かずとも、皆それぞれ理解していた。

 

「今回は貴方が勝った。ひょっとしたら次も貴方が勝つかもしれない。でも、その次……その先で、貴方は勝ち続けることが出来ると思う?」

「………負けたくは、ねぇな。少なくとも」

 

 勝てる、とは絶対と断言出来ない。

 今回だってギリギリだった。

 黒蘭が言う次回は、勝利に"かもしれない"という可能性すらないかもしれない。

 そういうあまりにも強大な存在が今も尚、自身の身体のうちに潜み、再び機会を伺っていると、蒼助は実感せずにはいられなかった。

 

 耐えられるだろうか。

 あの精神を堕とすべく、肉体と精神を削るような苦痛と責め苦に。

 

 必ず、と言い切ることはさすがに出来ない。

 

「負けたくねぇよ………あんなヤツに」

 

 過去がどうした。

 約束がどうした。

 自分だった誰かが勝手につくった厄介を、どうして自分が尻拭わなければならない。

 

 違反であろうと何だろうと知ったことか。

 自分は玖珂蒼助だ。

 過去は、現在ではない。

 

 自分ではない誰かがした約束なんかに、身を捧げる気など到底ない。

 

「………ちょっと、成長したみたいね。まずまずだわ」

「あ?」

 

 何か呟いた黒蘭に、握り締めた手を見つめていた蒼助は顔を上げた。

 

「どうしたの?」

「だから、今何か……」

「何か?」

 

 首を傾げる黒蘭を見て、これ以上の追求は無駄な浪費だな、と蒼助はすぐに見切りをつけた。

 

「……いや、なんでもねぇ」

「そう? まぁ、それはそうと………ね、坊や」

 

 いい加減その坊やってやめねぇか、と思ったが、次の瞬間それも、

 

 

 

 

 

―――――――"対処法"あるんだけど、どうする?」

 

 

 

 

 

 欠片も残さず吹き飛んだ。

 

 

 

 

 











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