「蒼助、そろそろ…………って、オイ」

 





 後片付けも終わって、いよいよ登校時刻も迫ったところで、千夜は行動を蒼助に持ちかけた。

 

 しかし、キッチンにて振り向いた先に見たものは、

 

「…………蒼助、行くぞ」

「あー」

「…………そろそろ出ないと、遅刻する」

「おー」

「……………」

 

 いくら促そうと、返って来るのは気のない適当な返事ばかりだ。

 行く気が無い。

 そんな意思は、ソファの上で寝そべった体勢が言葉よりも明確に表していた。

 しかも、テレビに視線をやったままこちらを見ようともしない。

 

「……っ、そ」

「なぁ」

 

 怒鳴りつけてやろうとしたところで、声が重なり遮られる形となる。

 重なった声は確認するまでも無く、背中越しに放たれた蒼助の声だった。

 

「本当に行くのか?」

「何を言って………」

 

 今更な問いかけの意を汲み取れず、千夜は怪訝な気持ちを露にしたが、

 

「よく考えたらよぉ……昨日はイロイロまずいことやらかしちまったんだよなぁ」

「……あっ」

「………だよ、なぁ」

 

 昨日の出来事のハッとして思わず零した千夜の言葉が、蒼助に己の行いがどういう傾向のものだったかを一層自覚させてしまったらしい。

 溜息の音が、事態の深刻さを千夜に実感させる。

 

「……お前は、悪くないだろ」

「喧嘩っていうのは、手ぇ出しちゃったらどっちが先とか関係ねぇのよ」

「あれは、喧嘩じゃ……」

「教員どもから見たら、生徒同士のいざこざなんざどれもこれもみーんな喧嘩なんだって………」

 

 騒動の渦中にいて、その中心となれば、後先など関係なく諸悪の根源としてもれなく処分の対象となる。

 それを知らないわけではないが、千夜には今その常識を受容することは出来ない。

 

「お前は完全な被害者だから大丈夫だろうけど………オレは良くて停学と自宅謹慎………あーでも、今までのを通算にされると今回はさすがに……」

「…………」

 

 その後に続く言葉は、聴かなくても千夜にはわかっていた。

 

「蔵間さ……先生は庇ってくれると思うけど、一人は顔面放送事故状態で、一人は片手バキバキにしちまったもんなぁ。……おまけに、あの人教員側に敵多いし。

………特に堀田のバーコードハゲあたりがなぁ」

「………すまない」

「あ?」

 

 千夜が耐え切れず漏らした言葉に、蒼助がようやく身体を起こして顔を向ける。

 

「俺はあの時、自分のことしか見えていなかった。………周りのことなんて、まるで眼中にすらなくて………。情けない話だ……それでいたばかりに俺一人だけでは

あきたらず、お前まで……」

―――――――千夜」

 

 ずぶずぶと後悔の沼に沈みこんでいこうとする千夜を引き止めたのは、叱咤するように少し強い口調で呼びかけた蒼助だった。

 気持ちと共に自然と俯いていた顔を上げると、ソファから身を起こした蒼助が、近寄りかけてそのまま立ち止まってしまったその立ち位置まで歩み寄って来る。

 

 その距離が頭一つ低い千夜を上から見下ろせるくらいにまで縮まると、

 

「……っ」

 

 むにゅ、と頬を摘まれる。

 ぴりりとした僅かな痛みに顔を顰めた。

 

「……逆だろ、逆。それはお前じゃなくて、俺にことだろうが。何で、そういう発想になるかね……」

「……原因は俺だ。違いないだろう」

「俺も、だろ。いいか、俺の処理に問題があったから……そんで、いろいろ無神経すぎた。今までテキトーにやってきたツケなんだよ、コレは。仕方ないっつったら、

そうなんだよきっと……」

「…………仕方ないなんて、言うな」

 

 よりにもよって、自分の嫌う言葉で片付けようとする蒼助に、千夜は頬を摘まれて喋りにくいのも構わず反論する。



 仕方ない。

 この世の中に、本当にそうであることなどありはしないと千夜は思っている。


 誰もがその言葉を、自分で決めた結果に納得が行かない気持ちの逃げ場にしているだけだ。

 千夜はこの言葉が大嫌いだった。

 今まで、自分であれこれ悩んで決めてことで積まれて出来た人生を、たった一つの言葉で片付けられようとしたらとてもじゃないが、例え相手が蒼助でも、もしそう

言って来るとしたら我慢ならないだろう。

 

「……ん? 慰めてくれてんの?」

「別に……そんなんじゃ………」

 

 否定を照れ隠しと解釈したのか蒼助は、

 

「……天だーいじょぶだって。学校に執着なんて別にねぇし。退学になるにしても、そうなったら勉強しなくていいし仕事に集中出来るんだからこれといって悪い

こたぁねぇって」

 

 先程の気が重そうな態度とは一転して、能天気そのもので笑う。

 強がりとして見るには、無理をしているような気配はない。

 

「お前………それこそ自分のことだろうが。何を悠長に……」

「元々昼の生活より夜の仕事の方が性に合ってんだよ。まぁ、やっぱり俺はこっち側のもんだったってことだろ。………ま、それでも強いて言うなら」

 

 何かを付け足そうとすると同時に、ケラケラと笑っていた蒼助の顔に翳りが落ち、

 

「学校でお前と会えるのが、今日で最後ってあたりが……ちょっと惜しい」

 

 頬を摘んでいた指が形を変え、指の腹で撫でるように擦る。

 惜しい、という感情を表すように千夜には思えた。



 そして、蒼助のいない学校を想像し、

 

「俺も………」

「ん?」

「……何でもない」

 

 あまりにも理性を欠き過ぎている言動をしかけた千夜はすんでのところで我に返り、本能を押し留める。



 一瞬、明日から校舎の何処に目をやろうと蒼助の姿はないのだと思ったら、たまらなくなったのだ。



 そうまで思ってしまう今になって、あそこでいつも自分は無意識のうちに蒼助の存在を探し、視界の隅に置くようにしていたのだということに千夜は気づいた。

 ちらり、と上目遣いで視線をくれると、蒼助は千夜の心中など知らぬも当然とばかりにきょとんとしている。



 それが何だか無性に腹が立ち、

 

「いっ……ぬあんあお」

「………うるさい、お返しだ」

 

 あまり柔らかくない両側の頬肉を摘み取って拡げるように伸ばしながら、千夜は己の気も知る由もない男に馬鹿野郎、と悪態づいた。

 

 

 



 ◆◆◆◆◆◆



 

 

 

―――――――ああ、それな。実はなぁ……」

 

 覚悟を胸に学校に着いて聞いた第一声は、これから死刑宣告を下すとは到底思えない軽さを以て発された。

 

 

 



 ◆◆◆◆◆◆



 

 

 

 正直なところ乗らない気を奮い立たせて、蒼助は処分が仁王立ちして待っているであろう学校へ行くことにした。

そうしたら、何故か今度は逆に「行かなくていい」などと言い出した千夜に驚かせられならも、共に登校に至った。



 蒼助は自分の言った予想は、ほぼ当たるだろうという確信があった。



 入学早々に問題を起こした蒼助は最初の頃はいろいろ派手をやらかしたが、一年の終わりくらいからはある程度落ち着き、おとなしくしていたつもりだ。

 が、それで信用を取り戻そうなどむしの過ぎる話だった。



 一度ついた汚名はなかなか取り下げてはもらえず、蔵間を除いた教員たちからはずっと目の仇とされてきた。

 今回のことは、奴らにとって目の上のタンコブを排除する絶好の機会。

 どいつもこいつもこぞって蒼助の退学に挙手するだろう。

 さすがの蔵間も今回ばかりは庇い切れない。

 

 そう、思っていたのだが―――――――

 

 

 

「………い、今なんつったんすか?」

「…………」

 

 隣で言葉をなくす千夜の分も含めて、蔵間に確認を問う。

 職員室に入った途端、予想していた通りの室内に漂うピリピリとした険悪な空気に当てられた蒼助に対応してくれたのは何故かいつもどおり飄々とした蔵間だったが、

 

「いや、だからさ―――――――退学なんざねぇんだって。停学も謹慎も無し無し。まぁつまりのところ………お前は、お咎めなしになった」

 

 信じられない言葉が目の前の信頼する人物から述べられていることを認識するのに、蒼助には数秒の時間が必要だった。

 

「………はあっ!? なにそれなにそれ!? ちょっ……でえぇっ!?」

「まぁ、落ち着けや」

 

 喜ぶべきことだが納得が行かないにもほどがある。

 ひょっとすると、この職員室に充満する険悪な雰囲気はそのことが原因だというか。

 説明してもらわねばならないことがたくさんだった。

 

 混乱する蒼助に、蔵間はあくまで冷静に対応した。

 

「……無理もねぇよな。俺も、今回はさすがにダメかなぁって思ってたんだけどよ………まぁ、なんとかなっちゃいました」

「いやいやいやそれじゃ足りねぇって納得できる要素がねぇってっ!」

 

 アバウトにもほどがある説明に蒼助は異議を唱えた。

 

「んなこと言ったってよぉ、あまりの超展開に俺も正直口開けて成り行きを見守る始末だったからなぁ…………なぁ、なんつーの、これも一種の情報社会の形なんじゃねぇ

のかなって」

「全くもって意味がワカリマセン……」

 

 んー、と蔵間は頭を掻きながら、

 

「……とりあえず言えることは、だなぁ。―――――当分、退学よりもイヤなツケが待ってるから覚悟しとけよ」

「はぁ?」

「その他いろいろ詳しいこと知りたいなら、外で待ってる奴らに聞いてくれ。じゃ、な」

 

 蔵間は半ば投げ遣りような形で話を打ち切り、蒼助と千夜に退室を促した。

 

 

 



 ◆◆◆◆◆◆



 

 

 

 一体何だったというのか。

 晴れない疑問と己の立ち位置を確認すら出来ないまま職員室を追い出された蒼助は、呆然とするしかなかった。

 

「これは……よかった、と喜ぶべきなんだろうか」

「……まぁ、そりゃそうなんだろうが」

 

 実感がわかないのは千夜も同じらしい。

 

「……しっくりこねぇんだよなぁ、なんか」

「外で待ってる奴らに聞けと言っていたが……」

―――――――呼んだ? お二人さん」

 

 唐突に応える声が横から響く。

 しかも、近い。

 バッと反射的に振り返ると、そこには―――――――

 

「おっはよー。……予想通り二人で登校してやんの」

 

 ニマニマと笑う久留美と付き添うようにその隣に立つ昶がいた。

 

「何でお前ら………いや待て、外で待ってる奴らって……」

「何だ、やっぱり覗いてたの気づいてたんだ。恭ちゃんめ」

「覗いてたのかよっ!」

「覗かずしてどうしろっていうのよ、その為にあんた達が来る前からあっちの角でスタンバってたのにっ」

「マジでどんな物好きだよ、てめぇはっ!」

 

 本当にこの女は、どうして顔を合わせる度に自分の気を逆立てるようなことを仕出かして、したくもない口論を盛り立ててくれるのか。

 顔を見てるだけでどんどん胸の奥で炎が燻り出し、胸焼けのような不快感が募る。



 この女が気に食わない。

 出会った当初からそうだ。



 理由は自分のプライベートをまんまとネタとして取り上げられたことだったか。

 否、違う。



 それはこの女の存在を知るキッカケになっただけに過ぎず、もっと根本的なところで―――――――

 

「………お前たち、どうして」

 

 本格的に火がつきかけたところで、千夜の疑問の声が間に入った。

 久留美たちの登場に、蒼助とはまた違う意味で驚いており、不可解に思っているのだとハッとして気づいた。

 

 救出した直後に、気絶してしまった千夜はあの時に久留美が後からやってきたことを知らないのだ。

 

「……あのな、千夜」

「何でも何も、結局こいつの尻拭いしたのは私なんだから。あと、早乙女君も」

「尻拭い……?」

「気絶したあんた連れて自分はさっさと面倒なもん残して行っちゃったのよ、この男は。全く、なぁにが始末つけさせろよ………」

「ってオイ、あん時何処からいたんだっ」

 

 あの最中にあの女に放った己の言葉を再現されて、蒼助はあの時久留美が妙に落ち着いていたことに対しての理由(わけ)を悟る。

 

「さっさと行ってしまったお前を追いかけてたが、見失ってな。とりあえず、外に出たら逃げるように走ってた男を見つけた」

 

 昶の言うそれがあの場で痛めつけ損ねた男であるとすぐに察した。

 

「あからさまに怪しかったから、とりあえず早乙女君にとっ捕まえてもらって拷……尋問して場所を案内させたのよ。ちょうどあんたが土下座してるところに居合わせて、

とりあえあず出入り口の影で様子を見てたの」

「つまり、俺たちは一部始終は把握しているというわけだ」

 

 気づかなかった。

 あの時は、一刻も早く千夜の安否を確かめたくて周りに気を配るすら時間が勿体無かったのだから。

 

「全く、大変だったんだからねっあの後」

「お前が行けっていったんだろがっ」

「ええ、言ったわよ。あんたにやらせても事態の収拾つけるどころか悪化させて自分の首絞めるだけだってわかってたからね」

「ぐっ……」

「落ち着け、蒼助。今回ばかりは久留美のおかげで助かったっていうのは確かなんだ」

 

 言い返せずブルブルと震える蒼助の肩を宥めるように叩きながら、昶までもがそんなことを言い出す。

 どういうことだ、と説明を求めると、

 

「そうだな……壮大すぎて、何処から始めりゃいいんだか」

「なんだそりゃ……」

 

 そんな大層なものじゃあるまい、と半目で疑念を込めた視線を昶に向ける。

 

「……まぁ、出だしは不安だったがな。お前がいなくなった後、喚き散らすあの三年の女をグーで顔をぶん殴って気絶させたあたりは」

 

 いや、迅速な行動だったがなアレは。止める間もなかった、と感心するように思い出している昶。

 

「で、お前の罪状がひとつ増えたわけだが」

「俺になすりつげやがったのか!?」

「いいでしょ、既にやらかした分にちょっと上乗せなったくらいなんだから。結局、全部帳消しにしてやったんだから感謝しなさいよ」

 

 微塵も悪びれた様子なく言う様が、また腹が立つ。

 

「……久留美がなんとかしてくれたのか?」

 

 対照的に冷静に耳を傾けていたのであろう、千夜がそんなことを言う。

 まさか、と蒼助は否定しかけるが、思考を落ち着かせてみると昶も久留美自身もそんな口ぶりをしているのに気づく。

 

「いやぁ、凄かったぞ。昨日の一連の活躍含めて今回の事件は短編映画が一本出来るんじゃないかと俺は思う」

「活躍ぅ……?」

 

 大袈裟なという心情を隠しもせずに言い含めながら、久留美を見ると、

 

「あんたの相手があの女だったからっていうのも、今回の勝因ね。……つか、あんたって本当に顔とアッチの相性でしか女選んでなかったのね。……とんでもないタマ

だったわよ、あのヒス女」

 

 まずいものを食わされたような顔で、久留美は吐き捨てるかのように加害者側の諸悪の根源たる智晶について語る。

 

「面はまぁまぁいいけど、中身はサイッテーね。素行はロクなもんじゃないってのは、あんたのセフレだって時点で大体予想づいてたけど、探ってみたら想定の範疇を

一っ跳びどころじゃないぶっ飛びようだったわ。知り合いの奴ら全部にあの女に関する情報を求めてみたら、ゴロゴロえげつない話が転がり込んできたわよ……」

 

 そのえげつないない話とやらを思い出してしまったのか、久留美は顔を酷く嫌悪に満ちた表情にして歪める。

 

「代議士の親の権力に傘の下で好き勝手しまくり。おまけに自分の取り巻き使って女を襲わせてAVじみた非公認の乱交劇を撮影及び自宅鑑賞なんていう大層なご趣味の

持ち主でね。……あんたのセフレの何人かもやられてるわ。大方、本妻気取りででしゃばる愛人を諌めてるご気分だったんでしょーよ」

「え、マジで……?」

「……………何で顔を見なくなってるとかそういうので気づかないわけ? 気づいてもそういう態度のあたりは、あんたもいい勝負で最低よね」

 

 白い目で見られても、「気の毒に」とぐらいしか思えない。

 顔もいちいち覚えていないし、見なくなっても女の方の気が変わったのだと考えてそれ以上気にかけもしなかった。

 久留美は薄情にもほどがあると言いたいのだろうが、そんなこと知ったことではない。

 そういう人間なのだいうと自覚はあるし、この先で博愛主義に転向する気は毛頭ない。

 

 ただ一つ気になるとしたら、智晶が今までの女たちに辿らせた末路に千夜を堕とそうとしたことだ。

 

「地面にビデオカメラが落ちてたから、千夜もコレクションの一つにでも加える気だったんでしょうね……或いはこれからも有効活用する為に……」

「止めろ、久留美」

 

 言わなくてもいいことまで言おうとする久留美に、蒼助は制止する声を投げる。

 久留美も喋りすぎたことを自覚したのか口を噤み、思わず千夜を見た。

 気まずそうな視線を受けた千夜は、特に気にした様子もないのを装い、

 

「……気にするな。済んだことだ」

「…………そうね、もう済んだことよ」

「本当にそうかまだわからねぇだろ。今回のことはそうかもしれねぇが、また何かしてこねぇとはかぎらねぇじゃねぇか」

 

 去り際に聞いた智晶の叫びが、今になって蘇る。

 盲目とした愛情と執念に変えた時の女は、妄執に突き動かされる怪物になる。



 その時は蒼助も標的になるだろうが―――――――真っ先に、そして徹底として狙われるのは恨みの元である千夜だろう。



 そうなる前に、手遅れになる前に。

 蒼助は己がすべきことに決断を下さなければならない。

 そうとなると、今回は免除になった退学はいずれ自分で進呈しなければならなくなるかもしれなかった。

 

「……ああ、それに関しては大丈夫。もう、多分あの女のことは気にする必要も無いだろうから」

「はぁ?」

「……どういう意味だ」

 

 おそらくは千夜と二人で共有しているであろう気がかりに対して、久留美がそんな心配をあしらうかのような発言をする。

 しかも、発言者の久留美はそう信じて疑わない目をしていた。

 

「……まぁ、そこんとこの問題は踏まえてちゃんと手を打っておいたから」

「正直、俺もこんなに上手くいくとは思わなかったがな」

 

 感慨深げに昶までもがそんなことを言う。

 一体何だというのだろうか。

 

「何だよ。紛らわしい言い回しはいいから、はっきり言えって」

「あー、うん。じゃぁ、言うわ」

 

 もう惜しむ様子もなく、久留美はあっさりと答えた。

 

 



―――――――志野智晶はもうこの学園にはいないわ」

 

 

 

 

 

 数十分後、蒼助は先ほど蔵間が言っていた『イヤなツケ』が何であるかを否が応にも理解することなるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

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