それは、既に過去となった時代。
誰かの記憶となったオハナシ。
セカイに綴じられた出来事。
それは再会を約束した者達の物語が始まるよりも前のこと。
東京が見えない恐怖に包まれ始めていた時のこと。
始まりから二年が過ぎた後のこと。
運命に選ばれなかった者達の追想の果てを綴った物語。
鮮血ノ月第二部
百鬼夜行節
始まりは一つの終わり。
与えられることも、望むことも知らなかった虚無の少女の話。
何も持たなかった彼女が、ようやく何かを手にしかけた物語。
少女の父になろうとした男との、優しくも残酷な絆の果て。
「生きているだけで幸せだと思える。君には、そんな人生を送ってほしいよ」
砕け散る希望。ゼロへの帰還。
物語は、少女の絶望から始まる。
登場人物